【おすすめの本】アニメビジネスの基礎知識を固めよう『アニメプロデューサーになろう』

はじめまして、藻汁と申します。あと数年大学に残る予定です。「まだ将来が決まっていない」枠としてこの共同ブログに誘っていただきました。


さて、このブログの読者の方にはアニメ業界を目指している就活生も多いと思います。しかし皆様はアニメがどのようにビジネスとして成立してきたのか・どういったことが課題になっているのかということをきちんと説明できるでしょうか?これらへの理解は面接の場で問われるのはもちろんアニメ業界のこれからの担い手として仕事をする際にも重要になるでしょう。今回は「アニメ業界の今現在の常識」を体系的に分かりやすくまとめた本として、福原慶匡さん著『アニメプロデューサーになろう! アニメ「製作」の仕組み』を紹介させていただきます。

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福原慶匡さんとは?

 


一般的には『けものフレンズ』のプロデュサーとしての活動で有名な方ですよね。それ以前にも『直球表題ロボットアニメ』(世界初MMDアニメ)『みならいディーバ』『てさぐれ!部活もの』等を担当されていました。アニメ以外にも「DMM VR THEATER」や最近だとバーチャルSHOWROOMER(バーチャルyoutubershowroom版)などのプロデュースも手掛けているようです。
参考記事:
「「けものフレンズ」アニメの福原PがVR企画を宣言 「中の人」を3月2日まで募集 」http://panora.tokyo/53997/
ジャストプロからバーチャルSHOWROOMER「がんばるぅ子」が登場」
https://www.moguravr.com/justpro-showroom-ganbaruluko/

 


この本の3つの魅力

 

 


1.網羅的にアニメビジネスを学習できる


アニメビジネスに関わるトピックとしてどんなものがあるかはこの本を読めば分かります。本書では、「製作委員会とか何か」という基本的なところからテレビ局などの関連産業のビジネスや2.5次元などの最近の動向などを網羅しています。この本を読んで興味を持ったトピックについての学習を進めればアニメビジネスを広く・深く学ぶことが出来るでしょう。


2.分かりやすい説明


数字に基づいた説明や具体的な事例が多く使われていて初心者でも理解できるようになっています。例えば、アニメ制作会社が製作委員会に出資して権利を得ることはハードルが高いということに関して次のような説明していました。数字に基づいていて説得的な説明だと僕は感じました。

 


元請けの会社が、たとえば(中略)1億8000万円で作品制作を請け負ったとします。その中で20%を利益(粗利)にしようと考えてやりくりすれば、3600万円残ります。ではこの3600万円残ります。ではこの3600万円から出資に回せるでしょうか?
「全部で3億円規模の製作委員会に出資しよう」と考えたとすると、そのうち5%だとしても1500万円、10%なら3000万円必要です。
粗利が20%ということは、80%はあくまで現場に支払う制作費であって、残りの20%で経理をはじめとする管理部門の人件費を払ったり、(中略)何かと現金は出ていきます。手元にはそんなに残らないのです。

 

3.問題意識が身に付く


「アニメ業界を変えるためには、ビジネスも分かるプロデュサーが現場にお金の回る仕組みを作らなくてはならない」という福原さんの問題意識とその理由が本書では繰り返し述べられています。本書でそうした問題意識を身に付けることで、具体的に自分がアニメ業界で何ができるのか/しなくてはならないのかということを読者は考えることができるようになるでしょう。


アニメ制作の現場を知りたければ…(おまけ)


この本はビジネス視点からアニメ業界を俯瞰して説明した本ですが、現場で何が起こっているのか気になっている方は桝本さんの『アニメを仕事に! トリガー流アニメ制作進行読本』を読むと理解が深まると思います。